メディア分科会近況報告:三つの変化

    皆さまはじめまして、メディア分科会参加者の磯野です。
 京論壇は秋の本番セッションに向けて着々と準備を進めています。メディア分科会でも、ミーティングを重ねるなかで議論の方向性が見えてきました。今日はその方向性を、3つの「変化」をキーワードにご紹介したいと思います。メディア分科会は、変化するメディアを議論することを通じて、私たち自身が変化し、ひいては社会が変化していくことを目指します。

 今述べたように、昨今メディアを取り巻く環境は大きく変化しました。ソーシャルメディアによって多くの人が情報の送り手になり、マスメディアのあり方にも変化を及ぼしています。私たちが特に注目する日中関係についての情報の伝わり方にも、変化が生じているはずです。こうした変化とどう向き合うかが、議論の重要なトピックになります。

 第二に、こうした議論を通じて、私たち参加者が変化することを目指します。京論壇の議論を通じて私たちのメディアに対する考え方が変われば、それは議論の大きな成果です。私たちはメディアを直接変えていくメディア関係者ではなく、学術的発見を目指す研究者でもありません。しかし、二週間膝を突き合わせて議論するなかで、参加者個人には情報の受け手・送り手としての意識の変化が生じるはずです。メディア分科会ではこの変化をきちんと捉えていくため、セッションの初めと終わりに同じ内容を議論するなど枠組みを工夫していきます。

 第三に、メディア分科会は社会の変化に寄与することをも目指しています。この目標には第一と第二の変化が関わっています。私たちはメディアの変化によって情報の送り手にもなりました。議論を通じて私たちも変化します。そこでこの議論を発信して、社会にも変化を起こそうと考えました。もちろん、京論壇はこれまでも冊子発行など社会発信を行っています。しかし今年のメディア分科会の試みは、インターネットメディアを利用して、幅広い方々に動的に社会発信をしようというものです。これは今年の京論壇全体の理念「明日を変える議論」にもつながっています。

 もっともこれは野心的な試みで、インターネットメディアの利用には障害も多くあります。アラムナイ(京論壇卒業生)にもご意見を伺いましたが、実現の難しさについて多くのご指摘がありました。しかし同時に、議論の場を広げて変化を引き起こしたいという私たちの思い自体には、多くのアラムナイが賛同してくださいました。

 メディアの変化を捉え、私たちが変化し、社会に変化を起こす。「明日を変える議論」に向けて、メディア分科会として何ができるか、模索中です。