-「正しさ」だけでは、伝えきれない? 価値観を語るためには、何よりも本音の関係構築が大切だと感じた話

こんにちは!京論壇2014若者分科会参加者の杉江です。

夏の暑さが嘘のように和らぎ、すっかり秋めいてきましたね。

大学生の夏といえば、そう!一年で一番キラキラした季節ですね!

京論壇若者分科会でも、9/5から9/6にかけて、1泊2日の夏の合宿に行ってきました。

「京論壇って、 真面目に議論ばっかりしてるんでしょ?」と誤解することなかれ。

今回はなんと、議長の誕生日をサプライズでお祝いする一大イベントを企画!

本記事では、気になる合宿の内容と合宿を通しての気付きをレポートします。

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■ゴールは、「本音で語る」

なぜ合宿をするのか?

もちろん議論を先に進めるためです。しかし、それだけではないと思います。

合宿の良いところは、普段は短い2~3時間のMTGでしか会えないメンバーが、時間を気にせず思う存分話し合えること。そして、それにも増して、文字通り寝食を共にすることで、メンバー同士の関係性をより深めるきっかけとなるということだと思います。

「4月から約半年間活動してきて、敢えて関係構築?」と思われるかもしれません。時間が限られている中でのいつものMTGでは、とにかく議論を前に進めるために効率に注力しがちですが、敢えて合宿のメリットを考えたとき、「本音で語れる関係構築」をゴールに設定しました。

 

■合宿では何をしたの? 

合宿で一番初めに行ったのは、メンバー各自、そしてチーム全体でのゴール設定でした。「京論壇を通して、自分はどうなっていたいか」「チームとして何を実現したいか」を改めて考え、キャッチフレーズとして発表し合いました。「否定されることを怖がってしまう」という問題意識を持つメンバーは“嫌われる勇気をもつ”、「いつもまとめ役に徹してしまう」というメンバーは“色を出す”などなど、個人の問題意識を反映したゴールを全体にシェアすることで、お互い意識してゴールを実現するために指摘し合う雰囲気ができて良かったです。チーム全体としては、実現したいこと・心がけることとして“Have Fun!”を設定しました。真面目なメンバーが多い若者分科会では、どうしても議論内容に集中しすぎてしまうことがあります。そんなときに、価値観をぶつけ合う議論をしながらも、心に楽しむ意識を持って、新しい気づきに心を躍らせていたい。そんな思いが込められています。

議論の本筋とは関係ありませんが、共有する価値観を持つことで「若者分科会」としての一体感も高まったと思います。

リサーチ内容を共有し、フィールドワークの目的・今後の進め方を明確にした後は、強敵・フレームワーク策定。前回の全体MTGでは、アラムナイの方に「中国側に何を聞きたいのかわからない」「個人の人生選択を扱うと、単なる『個人の価値観の違い』で終わって面白くないのでは?」など、的確かつ厳しいご指摘をいただき、再構築の必要がありました(過去記事:若者分科会 人生における「選択」の意味は? - jingforum2014's blog

 

煮詰まる中、私たちが気付いたのは、最終的なゴールの一つである「価値観の議論」をするために、個人の価値観を直接的にトピックとして扱う必要はないということです。「個人の選択(Choice)」をトピックとした場合、議論は完全に個人の経験がベースとなり、アウトプットは「私たち、議論を通してこんなに変わりました!」という内輪の気付きでしかなくなってしまいます。アウトプットを共有したとき、メンバー以外の人にとっても新たな気付きがあるような議論にするためには、ある程度の一般性があり、みんなが経験や知識として共有している社会的なトピックを扱う必要があります。私たちがいつも悩むのは、トピックの社会性と、メンバーの当事者意識のトレードオフです。トピックが社会に寄り過ぎると、主体が抜け落ちた政策提言になる一方で、個人の経験に寄り過ぎると、ただの価値観の違いに収斂してしまう虞があります。(多くの学生会議団体が抱えるジレンマだとは思いますが。)今回の合宿では、あまりに「個人」に寄っていたトピックを「社会」に寄せ、議論の過程で個人の価値観をあぶり出すことを目標にしました。このバランスは、これからも悩み続けることでしょう。

そして、今回の合宿では、念願の英語ディスカッションも実現できました!TEDを題材に、中国の新しい若い世代のトレンドについて英語を使って議論しました。なかなか言いたいことが伝わらずもどかしい思いを抱きましたが、本番の2週間の議論のシミュレーションにもなり、とても良い機会だったと思います。

 

■議長への誕生日サプライズのゆくえは?

 

なかなか真面目な話ばかりをしてしまいましたが、この合宿の大きな目的の一つは「本音で語れる関係構築」!メンバー同士で議長の誕生日(8月だけど)をサプライズでお祝いしたのでした。

合宿前にはサプライズ用の秘密LINEグループが発足し、ケーキの買い出し、クラッカー、メッセージカードの準備など、主役のあずかり知らぬところで着々と計画は進行していました。

そして当日。

早く現地入りしたメンバーは、ドッキリのシナリオを入念に打ち合わせ。これで準備はばっちり!…と思いきや、

ケーキのロウソクを灯すライターがない!ケーキ登場のタイミングがズレた!などなど、トラブル続きでグダグダに(笑)。それでもキャプテンはとっても喜んでくれたみたいで、準備したこちらも嬉しかったです。

その後も夜は長く、夜中までしっぽり語り合ったり、夜のお散歩に繰り出したり。

プライズの企画や、普段のMTGではしないような、とりとめのない話など、いつもは出来ないような経験を共有することで、メンバーの距離が更に近くなった気がしました。

 

■まとめ:ロジカルな「議論」の前提として、

思いそのままの「語り」が本音のコミュニケーションの土壌をつくる

合宿では、議論を前に進めることはもちろん、目的であった「本音で語れる関係構築」をかなり進めることができたと思います。

どんなにロジカルな議論ができていても、メンバーの中に遠慮があったり、「何だか思ったことを伝えきれていない」という不完全燃焼感があったりする場合、その議論は成功だったと言えないのではないでしょうか。考えることが得意な東大生は、議論をうまくまとめようとするあまり自分の本音の意見が見えなくなってしまったり、どこか腑に落ちないけれどもロジカルに意見がまとまっていない場合には発言をためらってしまったり、「思い」をそのままに語ることを苦手とする傾向があると思います。そんな時に必要なのは、きれいにまとめるのではなく「思い」をぶつけて良い場という相互認識、そしてメンバーは自分の「思い」を受け止めてくれるという信頼関係ではないでしょうか。もちろん、人に伝える上で議論が説得的・論理的であるべきだと思っています。ただ、その前提として、一見遠回りに見える、議論に関係ない交流や、日常の会話からぽろっと溢れる本音の語りが、「価値観の議論」に真剣に向き合える関係性をつくると信じています。