折り返し地点-社会的責任分科会-

こんにちは。京論壇2014社会的責任分科会に所属している杉山です。北京セッションが終わり、先日帰国しました。

 

私たちの分科会は、社会的責任という曖昧で個々の価値観に寄るところの多いテーマを扱っています。2週間の議論を通じての目標は、それぞれの考える社会的責任とは何かを明確にし、どうしてそのような考えに至ったのか背景を探ることです。議論の前半戦である北京セッションでは、具体的事案に対して社会的責任かどうかを問う質問を設け、その賛否と理由を聞きました。議論のなかから社会的責任の要素を取り出してそれらを比較することによって、社会的責任に対する自らの価値観をはっきりさせ、そのうえでなぜそのような価値観を持つようになったのかを議論しました。

例えば、消費者としての社会的責任として次のような問いを立てました。「自分の国が他国と大きな政治的な問題(領土問題など)を抱えているとき、相手国の製品を買わずに自国製品を買う社会的責任があるのか」東大生のほとんどが否定的に答えたのに対し、議論に参加していた5人の北京大生は全員が肯定的な答えをし、愛国心と社会的責任意識の関係に違いがみられました。北京大生は「国家としての統一を維持・強化する社会的責任が国民にある」と考え、その理由として「一体感は強さだから(Because unity is strength)」という信念をあげてくれました。その背景には、愛国教育や、自治体レベルにも浸透している共産党の影響が大きいようでした。

 

私が自分の価値観を考えるとき、それは感覚的なものであり、論理的な説明を付けることが難しいことが多々あります。その点北京大生は論理を構築するのが早く、自分の意見を説得力をもって伝えることに長けていました。彼らと議論を交わしていると、学べる点が多くあり、様々な意見を聞きながら、自分の考えも徐々に明確になりました。

明後日から始まる東京セッションでも、上記のような議論を続けていきます。自分の考えを深めると同時に、日中の差、さらには個人の差まで話し合っていきたいと考えています。